これまで、中国経済の投資過熱状況については詳細に論じてきたが、今回はなぜ中国において投資過熱が繰り返されるのかについて原因を考察するとともに、これに対する中央の対策及び最近の経済動向について解説することとしたい。
1.投資過熱の要因全社会固定資産投資の伸びは2003年が対前年比26.7%増、2004年1−3月は対前年同期比43.0%増と急拡大を続けた。これは地方政府主導により不動産開発・鉄鋼・自動車・アルミ・セメント・繊維といった業種において投資過熱が発生したためである。
中国経済において周期的に投資が過大になる原因については、次の点が指摘できよう。
A 計画経済の遺制(予算制約のソフト化) もともと計画経済においては、投資が過大になる傾向が指摘されている。いわゆる「予算制約のソフト化」であり、企業は投資行動の結果、より一般的には企業経営活動の結果生じた財政状態に応じて、国……田中 修