はじめに
地震発生から1週間以上過ぎ[1]、そろそろ地震が中国経済に与える影響を論ずるものが出てきた。本稿では政府の対応と、主要な論調を整理しておきたい。
1.国務院常務会議(5月21日)
温家宝総理が召集し、当面の経済情勢と対策が議論された(中国政府網2008年5月21日)
1.1 当面の経済情勢
農業生産状況はかなり良好であり、夏の穀物と食用油はかなりの収穫が期待できる。豚の生産の引き続き回復に向っており、工業生産は基本的に安定しており、市場の消費は引き続きかなり旺盛である。
存在する際立った矛盾は、主として物価上昇圧力が依然存在すること、一部地域の石炭・電力・石油の供給がかなり逼迫していること、財政支出の圧力がかなり大きいこと等である。汶川地震は被災地域に深刻な影響をもたらしており、経済運営全体に新たな不確定要因を増やしたが、経済発展の基本……
田中 修