本稿では、地震の中国経済に与える影響につき、国家情報センターの分析を中心に主要な論調を紹介することとしたい(脚注は筆者のコメント)。
1.国家情報センター経済分析・予測課題グループの分析
範剣平がグループのリーダーとなって分析が行われた(中国証券報2008年6月18日)。その概要は以下のとおりである。
1.1 要旨
地震による直接経済損失は4000-5000億元の間である。フロー面では、地震が1年の経済成長に及ぼす影響は0.1ポイント前後の減速であるが、災害復興が社会総需要に対する牽引作用は、現地の生産停止・減産が経済成長に及ぼす影響より大きく、全国の経済成長は0.4ポイント前後加速する可能性がある。
災害復興は社会の総需要の構造をある程度改善し、内需の経済成長への牽引作用は増強される。このほか、地震は消費者物価・投資財価格等の物価上昇圧力……
田中 修