中国の文明は「中原」と呼ばれる黄河の中流、現在の河南省の一部で起こりました。古代ではそこが世界の中心であり、北京でさえ文明の中心からはるか離れた辺境の地にすぎませんでした。その中原に住む人だけが文明人であり、それ以外は東夷、西戎、北狄、南蛮と呼ばれる野蛮人とされていました。文明があってこそ人間と言えるのであって、文明を持たない人間はケダモノと同じであると考えているのです。中華思想はこのような考え方がもとになっているのですが、「我こそが世界の中心にいる文明人である」と考えていた中国人のこのような考え方は、今も彼らの精神的よりどころとなって、脈々と生き続けています。
世界各国にもあ……
曽我井健二