近年、中国では、経済発展に伴って蔓延した商業賄賂が大きな社会的問題となっている。市場競争が厳しさを増すなか、取引の機会を得るため取引相手に何らかの賄賂を供与することは、いわば「潜規則」(暗黙のルール)となっている感があるといっても過言ではないだろう。
賄賂と聞くと、従来においては、現金や高級な煙草・酒、貴金属などを贈る‥‥というイメージであった。しかし、現在では、各種リベート、宣伝費、協賛費、労役費、コンサルタント費用といった名目での金銭供与のほか、視察を口実とした海外旅行費用の負担、市場価格を遥かに下回る価格での住宅提供、子女の外国留学に対する援助など、その手口が多様化している。しかし、商業賄賂は、贈賄・収賄のいずれも立派な違法行為であり、行政責任、刑事責任が問われることとなる。
まず、中国の不正競争防止法は、「事業者は、財産又はその他の手段で贈収賄を行うことにより商品……
劉新宇