1.はじめに
档案(個人の身上調書)とは、個人の学歴、結婚歴、職歴、社会関係、思想・性質、業務能力及び奨励処罰など、出生から現在に至るまでの全ての個人情報が記録されたものである。档案は、学生の間は学校に保管され、就職とともに企業が保管することになるが、なかには自ら保管せず、人材サービス会社などに保管を委託している企業も多いようである。
計画経済体制のもとでは、档案は個人の進学や就職、昇進などの際、大いに利用されていたが、近年は流動人口の増大及び民間企業の増加により、就職面での重要性は低くなっている。しかし、社会保険の納付・受領の際には、档案は現在でも必要となる重要な文書であるため、その存在、そしてそこに記載された内容は、依然として人々の生活に多大な影響を及ぼす。このように重要な意味を持つ档案だが、中国では人員の移籍に伴いこの档案を移転するという管理原則を実行しており、近年……
劉新宇