1. はじめに
最近の中国は、「創新(イノベーション)型国家の構築」という目標の下、知的財産権の保護に力を入れているが、関連法令の整備や啓発活動の甲斐もあって、中国の企業・個人の間では、自ら知的財産権を取得してそれを活用する意欲がますます高まっている。従来は、外国企業が中国のコピー商品に頭を悩ませるケースが圧倒的であったが、最近では、中国の企業・個人が、逆に外国企業を訴えるケースも目立つようになってきた。例えば、昨年12月、中国最高人民法院(日本の最高裁に相当)が日本の某環境設備会社に対し、特許権侵害を理由に共同被告と連帯して5000万人民元(約6億6000万円に相当)の損害賠償を支払うよう命じた事件は、まだ記憶に新しい。
そのような中、2010年6月1日付け中国経済紙「21世紀経済報道」において、日本の某大手自動車会社の合弁会社である広州某汽車有限公司(以下、「Y社」という)が商標権侵害の主張……
劉新宇