はじめに 12月25日、人民銀行は2010年2回目の利上げを発表し、26日に実施した。この結果、1年物預金基準金利は0.25ポイント引き上げられ2.75%となり、1年物貸出基準金利も0.25ポイント引き上げられ、5.81%となった。本稿では、この背景と、温家宝総理が最近中国中央人民放送で行った、物価安定策に関する発言を紹介したい。
1.利上げの背景 次の諸点が考えられる。
(1)中央経済工作会議における、金融政策の「適度な緩和」から「穏健」への変更 利上げは人民銀行単独では不可能であり、国務院の許可が必要である。党中央・国務院共催の中央経済工作会議で金融政策の方針転換が承認されたことは、利上げをやりやすい環境を人民銀行に提供したと言い得る。
(2)インフレに対する庶民の不満 人民銀行が行った、2010年10-12月期の都市預金者アンケートでも、73.9%が「物価が高く我慢できない」と答えており、……
田中 修