はじめに 本稿では、預金準備率引上げ、差別的預金準備率の発動、及びその背景にある経済動向について紹介する。
1.1月の主要経済指標 1月・2月は、毎年春節の時期がずれるため、前年同期比を出す意味が乏しく、多くの経済統計が発表されない。したがって、年初の経済動向は、一部発表される統計と3月に発表される1-2月期統計が重要指標となる。ここでは、1月に発表された一部統計を見ておこう。 (1)物価 ①消費者物価 1月の消費者物価は前年同期比4.9%上昇し、12月より伸びが0.3ポイント加速した[1] 。都市は4.8%、農村は5.2%の上昇である。食品価格は10.3%上昇し(うち、穀物15.1%、肉及び肉製品10.9%、卵20.2%、水産品11.1%、野菜2.0%、果物34.8%の上昇)、居住価格は6.8%上昇した。前月比では、12月より1.0%上昇した(食品価格は2.8%、居住価格は0.4%上昇)。 (参考)7月3.3%→8月3.5%→9月3.6%→10月4.4%→……
田中 修