中国における調査会社の繁栄から見るもの
近年、中国では、さまざまな民間の調査会社が一つの業種として社会的に認識されてきている。調査会社の業務内容や手段のみならず、その存在自体の合法性さえあいまいなところがあるものの、調査会社は中国社会において、一般の個人や組織のほか、外資系企業にまで広く利用されているようである。2010年12月、中国のメディアにおいて、北京市にある調査会社のいわゆる「探偵」が、顧客から不倫調査の依頼を受けて尾行・盗撮を行い、他人の銀行口座や不動産情報を違法に取得したために、個人情報の違法取得の罪で1年の懲役に処されたと報道され、調査会社に関する議論が盛んになった。本稿は、調査会社の業務形態を紹介しつつ、中国社会における調査会社の存在意義を論ずるものとしたい。
商務調査と民事調査、業務範囲は多種多様
中国では、約3700社の民間調査会社があり……
劉新宇