本稿では、人民銀行の預金準備率の引上げと関連する周小川行長の発言を紹介する。
1.預金準備率の引上げ 人民銀行は、4月21日から預金準備率を0.5ポイント引き上げた。これにより、大手金融機関の預金準備率は20.5%となり、3600億元余りの資金が凍結されることになる(人民日報2011年4月18日)。 今回の引上げの背景としては流動性が依然過剰なことがある。具体的には、次の点が指摘できよう(新華網北京電2011年4月17日)。 ①3月の新規貸出増が6794億元となり、2月の5356億元から再び増加に転じた。 ②3月末のM2の伸びが16.6%と、年間目標の16%を上回った。 ③4月に公開市場操作の満期到来が9110億元に達する。 ④3月の銀行の外貨交換による人民元放出が4079億元となり、1-3月期では1.1兆元に達した。このなかには、ホットマネーも含まれる。人民大学経済学院の劉元春副院長は、説明のつかない外貨準備の増が1300億ドル前後に達す……
田中 修