はじめに 本稿では預金準備率の引上げの背景とエコノミストの経済見通しについて解説する。
1.中央銀行の動向 (1)3年物中央銀行手形の発行(証券日報2011年5月12日) 半年間発行が停止されていた3年物中央銀行手形が、5月12日発行が再開された。金額は400億元である。これは一面においては、前期に集中した金融引締めのコントロール効果が現れはじめ、金融政策が過去の適度な緩和から正式に穏健に入ったことを示すものであり、他方で、3年物の中央銀行手形の再発行は、預金準備率の調整を部分的に代替するものである。 これ以外に、同日人民銀行は100億元の資金回収を行い、さらに500億元の3ヶ月物中央銀行手形を発行している。 (2)預金準備率の引上げ 人民銀行は、5月18日から預金準備率を0.5ポイント引き上げた。今年に入り5回目、昨年からは11回目の引上げとなる。これにより、大中型金融機関の預金準備率は21%となり、凍結……
田中 修