一、問題の提起 中国における多くの外商投資企業は、「技術移転契約」または「商標使用許諾契約」(以下「ライセンス契約」という)を親会社と締結し、対価としてロイヤルティを支払っている。また、生産活動において、原材料・部品を親会社から輸入し、輸入した原材料・部品をもとに組み立てなどの加工を行い、中国国内外に販売を行っている。 税関実務において、原材料・部品を輸入する際の課税価格に「ライセンス契約」で定められたロイヤルティを加算するよう税関が求めてくることがある。以下、この問題について詳しく述べていきたい。
二、ロイヤルティを課税価格の加算要素とされる場合の法的根拠とその分析 関税の課税対象は輸出入貨物であり、有形の物のみがその対象である。本来、無形の権利は課税対象ではない。「ライセンス契約」に定められたロイヤルティを原材料・部品の課税価格に加算するのであれば、所定の要件を満たさなけ……
王倩