今回は、チベット族と比較すると、独立運動が世界的にも軽視されがちなウイグル族を中心として、筆者自身の新疆ウイグル自治区での体験および漢族によるウイグル族、チベット族、モンゴル族に対する少数民族観について紹介する現場体験記です。
1.新疆ウイグル自治区 筆者が初めて新疆ウイグル自治区への旅を計画したのは、2009年4月のことでした。当初は、日本人にも馴染みの深い敦煌に行くことしか考えていなかったのですが、中国駐在暦20年超の当時の上司から、「お前な、敦煌だけに行っても仕方ないぞ。1週間ぐらい休みを取って、新疆ウイグル自治区も合わせてぐるっと一周回って来い!」とアドバイスを受けたため、あわてて周りの中国人の友人に新疆ウイグル自治区を旅するに際して、どういった所がおもしろいかを聞いて回りました。
2.漢族のウイグル族観 筆者は、行き先を決定する前に、まず中国人の友人にどこがお……
奥北 秀嗣