残業代を計算する際、日本では基本給をベースにしますが、中国では、基本的に「正常業務時間における賃金」を基準とします。しかし、この「正常業務時間における賃金」の解釈と、労働契約で「正常業務時間における賃金を基本給とする」と約定した場合の効力については全国的な統一見解がなく、各地の地方立法または運用に任されているのが現状です。以下、福州市の状況をご紹介します。
現在、福州市には、「正常業務時間における賃金」について明文化された規定がありませんが、福州市の労働仲裁機関が、近年来、労働仲裁を通して次の見解を示しています。
①労働契約に「正常業務時間における賃金」を基本給とする旨が盛り込まれていても効力はない。
中国の他の大部分の地域ではこれが認められているのですが、福州市では、この点につき、労使双方による合意の効力が否定されています。
②標準時間制を採る場合の1時間……
王倩