1.はじめに
中国では、近年、インターネットの普及とオンライン決済制度の整備により、ネット販売が盛んに行われるようになってきている。中国インターネット情報センター(CNNIC)は、2011年1月19日付け「第27回中国インターネット発展状況調査統計報告書」において、中国のオンラインショッピングのユーザー数は1.61億人に達したと発表し、中国ネット販売マーケットの巨大さを示した[1] 。しかし、伝統的な対面取引形態と違い、ネット販売の取引当事者は、インターネットというサイバー空間を利用して取引を行っているために、時間と場所の制限がない便利さがある反面、様々なトラブルも生じやすい。これらのトラブルに関し、インターネットサービス提供者[2] がどのような責任を負うのか、一つの論点になっている。
2.紛争事例
消費者Aは、大手ショッピングモール事業者Bの経営するオンラインショッピングサイトにおいて、オ……
劉新宇