新型インフルエンザが猛威を振るった2009年、筆者は北京に居住していました。今回は、当時の中国の新型インフルエンザ対応および予防接種に関する現場体験記です。
1.訪問ビザ(Fビザ) 筆者が北京で生活を開始したのは2008年9月で、まさしく北京オリンピックが終結したばかりでした。
北京に居住するためのビザを取得したのは、入国前の7月でした。いつもなら、学生ビザ(Xビザ)を申請するための証明書は、語学学校にて受領できていたのですが、この時期は北京オリンピックの影響もあり、語学学校では証明書の発行ができなくなっていました。やむなく、そのとき取得が可能だった訪問ビザ(Fビザ)の中から、「1年間有効の90日マルチ」という条件つきのビザを取得したのです。このビザは、「シングルビザ」とは異なり、1年間なら何回でも入出国が許されるという点で、Fビザの中では比較的便利なビザでした(「マ……
奥北 秀嗣