「王将」商標をめぐる熾烈なバトル
最高人民法院は、知財案件の法解釈を統一するため、2008年から毎年、「最高人民法院知財案件年次報告」を公表している。その中に掲載されている「指導的裁判例」は、類似案件を判断する際のスタンダートとして位置づけられ、知財案件実務に大きな影響を与えている。 今年公表された「2010年度年次報告」において日系企業が特に注目すべきいくつかの案件をシリーズで紹介していきたい。 まずは、「王将」の商標、商号をめぐる最高法院の指導的裁判例を取り上げる。
一、背景 1999年に、ハルビン王将食品有限公司(以下、「ハルビン王将」という)が設立された。法定代表者は李恵廷氏。「ハルビン王将」社とその店舗内には、「王将」という看板が掲げられており、2002年、李恵廷氏個人の名義で、中国商標局に対し、「レストラン」等の役務を指定して、「王将」商標(第43類)が出願され……
王倩