1995年8月、筆者は台湾外務省・教育省・救国団(前身は中国青年反共救国団)主催の日本大学生訪華研修団の一員として、台湾行政院、教育省、外務省、国民党などを訪問しました。今回は、そのときに台湾の官僚の口から飛び出した台湾官僚の知的財産観に関する現場体験記です。
1.台湾総統選挙の前夜 (1)1996年3月23日 1996年3月23日、台湾では総統選挙が行われました。これは、台湾の正副総統を台湾の民衆が直接選ぶことができるという直接選挙の第一回目でした。総統直接選挙に向けた熱気の中、筆者は企業家の家にホームステイをしながら、台湾の各官庁を訪問したり、台湾の軍人と交流したりしていました。
(2)1本の電話が今に至る 1995年の夏を目前としたある日、大学生であった筆者の家の電話が鳴りました。
電話の主:「台湾外務省・教育省・救国団の招待で、日本の大学生団が台湾の各官庁……
奥北 秀嗣