はじめに 10月29日、温家宝総理は国務院常務会議を開催し、当面の経済政策の基本方針を決定した。18日に7-9月期の主要経済指標が発表されてからかなりの時間が経過しており、この間、温総理は25日と28日に天津・北京で座談会を開催し、経済情勢を分析するとともに、地方政府責任者・専門学者から意見を聴取している[1] 。おそらく引締め気味のマクロ経済政策に対する地方の不満が高まり、本決定までに周到な根回しが必要だったのであろう。 以下は会議の概要である。
1.経済情勢 今年に入り、経済成長は政策による刺激から自主的な成長へと秩序立って転換しており、国民経済は平穏で比較的速い発展を維持している。内外の需要の成長動力は更に協調傾向にあり、物価の速すぎる上昇の勢いは初歩的に歯止めがかかり[2] 、農業生産情勢は良好で、構造調整が積極的に推進され、金融システムは健全・安定しており、重点分野の改革は新たな進……
田中 修