アメリカに端を発した金融危機や不景気の影響で、米ドルへの信認が低下し、その結果、円高が進んでいる。一方で、世界2位の経済規模となった中国人民元の国際化は着々と進み、注目を浴びている。人民元の国際化が本格化し始めたのは、2009年7月のことである。中国政府は、貿易決済における人民元の使用を上海など沿岸部の主要都市にある企業などに解禁し、それ以来、中国では決済範囲など各種規制が徐々に緩和されてきた。流通量の拡大とともに、人民元流通ルートの構築と為替相場の弾力化が始まり、国際化の足取りが加速しているように見えるが、国内金融、資本市場の整備など取り組むべき課題も山積している。
中国人民銀行は、「クロスボーダー人民元業務関連問題の明確化に関する通知」(銀発[2011]145 号、2011年6月3日公布・施行)に続き、人民元の外商直接投資について、新たな規則である「外商直接投資の人民元決済業務管理弁法」(以……
劉新宇