退職した従業員が得意先を奪った行為は不正競争になるか
最高人民法院は、知財案件の法解釈を統一するため、2008年から毎年、「最高人民法院知財案件年次報告」を公表している。その中に掲載されている「指導的裁判例」は、類似案件を判断する際のスタンダートとして位置づけられ、知財案件実務に大きな影響を与えている。 今年公表された「2010年度年次報告」において日系企業が特に注目すべきいくつかの案件をシリーズで紹介しているが、今回は、「ビジネスチャンス」の不正競争法による保護について取り上げたい。 従業員が離職前から競合する会社の開業に関わり、離職後、それまでの業務を通して得られた顧客からの信頼を利用することで、離職した会社からビジネスチャンスを奪うことは、不当競争に当たるか否かが今回の争点となっている。
一、背景 中国産昆布を日本に輸出するためには、昆布生産者団体である北海……
王倩