はじめに 人民銀行は11月30日、12月5日から預金準備率を0.5ポイント引き下げる旨を発表した。3年ぶりの引下げである。この結果大型金融機関の預金準備率は21%、中小型金融機関の預金準備率は17.5%となる。また新華社の試算によれば、これにより約4000億元余りの資金が解放される。以下、引下げの背景とエコノミストの反応を紹介したい。
1.引下げの背景 次の点を考慮したものと思われる。 (1)中央経済工作会議対策 10月から11月にかけて、金融政策のあり方をめぐり現状維持派と緩和派の激しい論争が続いている。まもなく2012年の経済政策の基本方針を決める中央経済工作会議が開催されるが、もし人民銀行がそれまでに何も手を打たなかった場合、会議において人民銀行は景気重視派(金融緩和派)から集中砲火を浴びる可能性があった。 これまでにも、人民銀行は中央経済工作会議直前に預金準備率引下げを行ったことがある。例……
田中 修