はじめに 温家宝総理は2月3-4日、広東省を視察した。例年国務院全体会議終了後、温家宝総理は地方で座談会を開催し「政府活動報告(案)」につき意見聴取を行っており、今回の視察はその一環であろう。 広東省は、陸豊市烏坎村で幹部の腐敗をめぐり村民の大規模な抗議事件が発生したばかりであり、輸出企業・民間企業も大きな経済困難を抱えている。また今年は鄧小平のいわゆる「南巡講話」20周年であり、彼が改革開放促進の大号令を発したのは広東省においてであった。さらに現在の広東省書記は、次期政治局常務委員の有力候補であり共青団系の汪洋である。以上の総合的観点から特にこの地が訪問先として選ばれたのであろう。 本稿では、視察時の座談会における温家宝総理の主要発言を紹介する(新華網広州電2012年2月5日)。
1.農村関連 (1)村民自治 村民自治は、村民委員会組織法に規定されており、農民が民主的権利を行使……
田中 修