はじめに 人民銀行は2月18日、2月24日から預金準備率を0.5ポイント引き下げる旨を発表した。これにより、大型金融機関の預金準備率は20.5%となり、中小金融機関は17%となる。また、凍結解除される銀行システムの流動性は約4000億元である(新華網北京電2012年2月18日)。 これに先立ち、温家宝総理は2月10日に開催された企業関係者との座談会において、「今年の1月及び1-3月期の経済状況は注目に値する。事を早く見て取り、対応を速くし、事前調整・微調整を1-3月期から開始しなければならない」と発言していた。今回の措置はこれを踏まえたものであろう。本稿では、この背景と今後の見通しについて、エコノミストの見解及び人民銀行の抱いている懸念を紹介する。
1.引下げの背景 市場アナリストは、春節後企業の運営が正常に回復するにつれて、市場の資金需要は徐々に高まっており、今回の引下げの主要目的は銀行システムの流動性……
田中 修