■はじめに 前回は、有形固定資産の①取得原価、②減価償却方法及び③耐用年数(3要素)にかかる会計及び税務上の取扱いについて、日本のルールとの相違点を中心にお話しました。そもそも有形固定資産の減価償却とは、有形固定資産の取得にかかった支出(取得原価)をその使用期間(耐用年数)を通じて計画的・規則的に費用配分する方法であることから、その取得原価、耐用年数または減価償却の方法を変更することにより利益操作の手段として使われる余地が大きいと言われ、実際に日本でも中国でも減価償却を操作することによる利益調整は古典的方法として行われています。また、税務上も上記の3要素によって損金算入できる金額が変わってくるため、各国は税法によって償却方法や耐用年数を規定して税金計算の自由度を制約しており、これは中国でも同様です。 今回は、計画的・規則的減価償却の前提が変更となった場合の処理として、固定資産の減損処理、……
中村 亨