案例指導制度が本格的にスタート
中国法には、法律、行政法規、地方性法規、自治条例、単行条例、国務院部門規章、地方政府規章のほかに、最高人民法院ないし最高人民検察院が制定する「司法解釈[1] 」という独特の制度が存在する。判例制度を採用しない中国も、最近では、「案例(裁判事例)指導制度」を導入し、「司法解釈」とならび、この制度を裁判の公正と効率を実現する主要な手段として司法制度改革の中心課題に据えた。
この案例指導制度の発展経緯は、これを中国司法改革の重要措置の1つとして位置づけ、同制度導入の必要性や指導性案例の機能について初めて言明した「人民法院第2次5ヵ年改革綱要[2] 」(2004年-2008年)に遡る[3] 。これを受けて、最高人民法院は、案例指導制度を推進するため、2010年12月9日に「案例指導業務に関する最高人民法院の規定」(以下、「案例指導規定」という)を公布し、指導……
劉新宇