アジア市場で商品を販売する際、最も重要となるのが国別に異なる流通構造の理解だ。特に消費材となれば小売流通の構造を確りと理解しなければ商品は売れない。日本の流通構造の例に習えば必ず失敗が待っている。
小売流通は大きく分けて2種類存在する。一つがTraditional Trade(伝統的小売)で、もう一つがModern Trade(近代的小売)である。伝統的小売とは、昔ながらの家族経営型の小さな小売店のことを指す。一方で近代的小売とは、スーパーやコンビニ等、チェーン型や大型の現代的な小売を指す。日本のような近代国家は流通の大半が近代的小売で占められている。しかし、アジアは国毎にその構造が異なる。
例えば、広大な国土に13億人を抱える中国の場合、小売流通は既に近代化しており、業種、業界にもよるが、消費材の約6割は近代的小売を経由して売られている。百貨店や量販店、コンビニは都市部の至る所に存在し、消費者……
森辺 一樹