はじめに 温家宝総理は、全人代終了後、任期最後の内外記者会見を行った。報道では、政治体制改革・重慶事件が専ら紹介されているが、本稿では経済関連の発言概要を中心に紹介したい。
1.2012年 今年は、最も困難な1年となる可能性があるが、最も希望のある1年となる可能性もある 。人民は、政府の冷静さ・果敢さ・信義誠実を必要としており、政府は、人民の信任・支援・手助けを必要としている。 国際金融危機と欧州ソブリン危機の蔓延・進展に対するカギは、我々が自身の事柄をしっかり行う ことである。
2.貿易システムの改革 主として3つの問題を指摘しておきたい。 (1)輸出入は基本的にバランスしている 明確にしておきたいのだが、2011年の中国の経常黒字のGDP比は、すでに2.8%となっており、国際的に公認された基準3%より小さい。つまり、国際収支・貨物貿易上、中国はすでに基本的なバランスを実現し……
田中 修