第2の指導性案例(訴訟外和解協議書と判決の効力に関する問題)
前回は最高人民法院より公布された指導性案例の性質、効力及び1つ目の指導性案例として「上海中原物業顧問有限公司が陶徳華を訴えた仲立契約紛争事件」を紹介したが、今回は、訴訟外和解合意書と判決の効力をめぐる2つ目の指導性案例について、検討するものとしたい。
民事訴訟事件の二審手続中に、当事者間に訴訟外の和解が成立して上訴が取り下げられた場合における一審判決の効力については、学説・実務に共通して、次の2つの見解が主張されている。第1説は、二審手続中における上訴の取下げによって、その上訴は当初より存在しなかったものとなり、一審判決が発効するとし、これに対し、第2説は、当事者の上訴によって一審判決は未発効のままであり、その後、当事者が和解合意に達したことで、一審判決における実体法上の権利も処分しているため、私的自……
劉新宇