国際的二重課税と租税条約①
1.国際的二重課税の発生 国境を越えた経済活動が活発になり、人・物・金が動くと、当然、税金の話が生じてきますが、各国にはそれぞれ課税権があり、税法はそれぞれの国が独自に定めているため、国境を越えた取引が行われる場合には、その取引から生じた所得が両国で課税されて、二重課税となってしまう場合があります。
例えば、日本法人が海外支店を有している場合、その海外支店が獲得した所得に対しては、海外支店所在地国で法人税が課税され、かつ、日本においても法人税が課税されることになりますが、その課税対象となる所得の範囲が、それぞれの国で異なります。海外支店の所在地国では、その海外支店がその所在地国内で獲得した所得(国内源泉所得)が課税対象となりますが、日本では、日本法人が日本で獲得した所得と海外支店が獲得した所得を合計した所得(全世界所得)をベー……
三浦 誠