中国のERP市場は、中国系の用友、金蝶、仁科、そして外資系のSAPやオラクルで市場の大部分を占めている。元々はSAPやオラクルといった外資系企業が中国のERP市場の先駆けで、パイオニアとしての市場形成に大きく貢献してきた。その後、市場が成長するとともに用友、金蝶といった中国系メジャーの影響力が増していった。
これら中国ERP市場の巨匠達は、元々は大手企業にフォーカスした販売戦略を取っていた。銀行、証券、保険といった金融業界や通信業界が主戦場だ。しかし、2000年代前半にSAPが他社に先駆け、中国の中堅・中小企業をターゲットとした販売戦略を打ち出したのだ。当然ながらSAPは相当な苦労を強いられた。中国の中堅・中小企業をターゲットとした場合、業種・規模・エリア別に異なる彼らの商習慣や市場環境等を深く理解する必要があったのだ。様々な面で企業に合わせたローカライズをしなければならなかった。また、中堅・中小企業……
森辺 一樹