はじめに 経済減速に伴い投資拡大への要求が高まるなかで、投資拡大への懸念も強まっている。本稿では、その代表的意見として、経済参考報2012年5月28日の論評「大規模投資に依存した成長安定には巨大なリスクが内蔵されている」の概要を紹介したい。
5月に入って以降、内外需要の疲弊が更に顕著となっている。経済成長の更なる下降リスクを防ぐため、いくらかの重大インフラプロジェクトの始動が加速されている。メディアの報道によれば、いくらかの下半期のプロジェクトが上半期に前倒しされており、成長安定政策が膨らんできている。
世界銀行の試算によれば、改革開放30年の中国の年平均9.8%の成長率は、2-4ポイントが全要素生産性の貢献である以外は、残りの6-8ポイントは投資の貢献によるものであった。投資率がこのように高いことは、わが国が長期に資本利用率が低く、更に多くの資本注入を必要としていたことと大きく関……
田中 修