人民銀行は6月8日、1年物預金・貸出基準金利を0.25ポイント引き下げた(7日夜発表)。3年半ぶりの利下げである。これにより、1年物預金基準金利は3.25%に、1年物貸出基準金利は6.31%となった。 また、今回は金利が一部弾力化され、預金金利は基準金利の1.1倍まで引上げが可能となり(従来は基準金利が上限)、貸出金利は基準金利の0.8倍まで引下げが可能となった(従来は0.9倍が下限)。
(1)引下げの背景 以下の諸点が考えられよう。 ①物価の安定 5月の消費者物価上昇率は3.0%となった。これであれば、1年物預金基準金利を3.25%に引き下げても実質金利をプラスに維持できる。また、預金金利の上方変動幅を1.1倍に設定したことによって、金融機関は預金金利を3.575%まで設定できることになった。これは改定前の金利より高い数値である。これにより、もし将来再びCPIが上昇しても、金融機関は柔軟に金利を引き上げることで実質プ……
田中 修