はじめに
前回は中国の賃金の上昇傾向などについてご説明し、最後に今後5年間で所得倍増という国家方針について触れました。今回は、中国政府が各地方毎に毎年各企業等に通知している賃金上昇指導線というものについて解説いたします。
1.賃金上昇指導線とは何か
賃金上昇指導線とは、例えば上海市の場合ですと、上海市人力資源社会保障局、上海市総工会(労働組合の上部組織)、上海市企業連合会、上海市企業家協会、上海市工商業連合会が連名で、関係当局、各企業、市内各区の人力資源社会保障局、工会、企業連合会、企業家協会、工商業連合会へ通知する従業員の給料の上昇率に関する意見で、それ自体に拘束力はありません。 この上昇率は地域の経済発展の情況、物価上昇、就業率、給与水準などを総合的に勘案して決められます。
2.上線、平均線、下線の意味
指導線は、下の表のように上線、平均線、下線……
田畑 泰朗