■はじめに 日本本社が中国現地法人の決算書を見る際に、まず気になるのは「決算書が現地法人の実態を適正に表しているか?」ということです。中国の決算書は中国の会計基準に基づいて作成されていることから、中国の決算書を正しく読み解くためには日本の会計基準との主な相違点について理解しておく必要があります。 また、中国でも日本と同様に会計基準とは異なる税務上の取扱いがあります。現地法人としてはまず中国で正しく納税することが決算書を作成する第一義的な目的になっているケースが多く、したがって日常の経理処理も税務基準に基づいて行われているケースが非常に多く見受けられます。 今回のテーマである引当金は、資産あるいは偶発債務の評価の際に用いられる勘定科目であり、基本的な考え方については日本とそれほど大きく異なるところはありませんが、会計処理方法や税務上の取扱いについて特徴的な部分が見受けられます。 ……
中村 亨