国力コンプレックスという感覚をご存知だろうか?恐らく、多くの日本人はこの感覚を実感は愚か、想像もできないのではないだろうか。それが当然である。日本は1968年に西ドイツを抜いて、世界第2位の経済大国になって以来40年以上そんな感覚とは無縁の中、驚異的な成長を続けてきたのだから。
国力は国際社会において、国際法上は平等である。しかし、現実的には経済、軍事、科学、技術、文化、情報、国民などの能力や影響力は異なり、それらを総合的に捉えたものが国力であるとするならば、国力によって国際社会におけるその国の地位は変化する。その国の地位が変化するということは、当然ながらその国の企業、そして企業で働くビジネスマンの地位も変化する。残念なことだが、日本を一歩出て、海外市場でビジネスをするのであればこれが現実である。しかし、この国力コンプレックスは、この40年間、日本のビジネスマンには無縁の世界であった。……
森辺 一樹