はじめに
今回からは、外国企業が中国で経営活動をする際に欠かせない、企業に所属する個人の所得税に関する制度についてお話いたします。中国では従業員との給与交渉を手取り実額ベースで行うことも多く、会社の人件費コストを計算する際には社会保険制度とあわせて個人所得税の制度も理解しておく必要があります。また、本社から中国現地法人に出向者を送り出す際には、仮に支給総額が出向前後で同一だとすると、所得税率の違いによる出向者の手取り額の目減りが生じ、事前に本社が準備対応していなければ出向者から大きな不満が上がるケースも少なくありません。
Ⅰ.中国の個人所得税の概略
(1) 課税対象者と課税の区分
① 中国国内に住所があるかないか
中国国内に住所があるかないかで課税される所得の内容に違いがあります。「中国国内に住所がある」とは、中国国内に生活の本拠地があるかということで判断されますので、一般……
●
非会員の方は記事の一部しかご覧になれません。閲覧には会員ID、パスワードでのログインが必要となります。入会希望の方は
こちらへ
田畑 泰朗