10月11−14日に開催された中国共産党第16期中央委員会第3次全体会議(三中全会)は、「社会主義市場経済体制完備の若干の問題に関する決定」(以下「決定」)を採択した。決定の全文は約1万2000字に及び、12の章、42の項目から構成されている。内容面では、今後の経済体制改革の重要方針が定められており、識者の間では「新しい突破」との評価も高い。本稿では、決定のポイントにつき、解説を行うこととしたい。
.経済体制改革が直面する情勢と任務1. 経済の問題点 決定では、経済の問題点として、(1)経済構造が不合理、(2)分配関係が不正常、(3)農民収入の伸びが緩慢、(4)就業の矛盾が突出、(5)資源環境のプレッシャーが増大、(6)経済全体の競争力が強くない、の諸点を挙げている。そして、その原因として、中国は社会主義初級段階にあり、経……
田中 修