今迄、先進国の消費者を相手にしてきた日本企業にとって、アジア9億人の中間層市場で成功を納めるには、企業が既に持つ“常識”、“体験”、“思考”に対する概念を変えなければならない。 なぜならば、日本とアジアでは、3C(3Cとは、「市場(customer)」「競合(competitor)」「自社(company)」の頭文字。)が完全に異なるからだ。日本とは異なった顧客、日本とは異なった競合、日本とは異なった優位性/意思決定/スピードの中でビジネスを行うのだから、当たり前と言えば当たり前なのだが、組織が大きくなればなるほど、これら概念を変えられないでいる企業が多い。そして、概念を変えられないまま戦略を立てても、たちまち失敗に終わってしまう。
“常識”に関して言えば、「まずリスクは悪であり、回避するもの」という概念を捨て、「リスクはチャンスであり、マネージするもの」であることを理解すべきだ。現地で対峙する競合の多くは、日本企業……
森辺 一樹