●中韓FTAの締結を懸念する台湾企業
中韓FTAの締結は対中輸出商品で韓国企業と競合関係にある他の国・地域に一定の影響を及ぼす可能性もある。なかでも台湾企業の懸念は深いものがあるようである。台湾企業は中韓FTA交渉に対して前から強い関心を持っていたが、これまでに実務者協議を11回開催し、双方は譲れない部分が多く残り、短期間妥結できないかとの観測が台湾に多かったようである。習近平訪韓で中韓FTA交渉が年内で妥結するとの合意は、台湾側の「楽観論」に大きな衝撃をもたらしているようである。 台湾経済研究院景気預測センターの孫明徳主任は、この事態を「経済的原子爆弾」と形容している。台湾経済への影響は必至、台湾の政治情勢にも前例のない衝撃をもたらしかねないとの観測も登場している。
台湾が強い懸念を示す背景には、台湾の輸出にとって韓国が最大のライバルという現実がある。台湾と韓国の輸出製品……
馬成三