はじめに
人民銀行は「三農」と小型・零細企業支援のため、4月と6月に方向を定めた預金準備率の引下げを実施した。8月1日公表の「第2四半期貨幣政策執行報告」では、コラム欄に、この措置に対する問題点を含めた人民銀行自身の評価が記述されており、興味深い。本稿では、その概要を紹介する。 国務院常務会議精神を貫徹実施し、「三農」と小型・零細企業等支援が必要な分野への貸出配分のウエイトを金融機関が引き上げることを奨励し、実体経済に対する金融のサービス能力を高めるため、中国人民銀行は2014年4月・6月の2回、方向を定めた預金準備率引下げを実施した。
具体的には、2014年4月に実施した方向を定めた預金準備率引下げは、全ての県域農村商業銀行と県域農村合作銀行に適用され、準備率はそれぞれ2ポイント・0.5ポイント引き下げられた。これは、主としてこの2つの機関の「三農」に対する貸出ウエイトがいずれも比較的高……
田中 修