筆者の初中国出張は、北京、上海、広州、香港の大都市を縦断するものでした。なかでも、広州の花園酒店(花園ホテル)の玄関ロビーを見た際に、最も強く「中国に来た」という思いがしたことを記憶しています。なぜなら、花園ホテルのチェックインカウンターの背景にそびえる壁が、一面金ぴかに輝いていたからです。中国中を廻り、中国人の好みに慣れた今でも、初めてこの壁を見たときの衝撃は忘れられないものとなっています。 今回は、日本人の好きな「わび・さび」と中国人の好きな「金ぴか」についての現場体験記です。
1.お土産のお菓子 2008年、北京で語学研修を始めたばかりのことです。筆者はFESCOで、マンツーマンによる中国語レッスンを受けていました。マンツーマンレッスンゆえ、同級生はいませんでしたが、多くのメーカー、商社の駐在予定者、研修生が同じFESCOの建物内で授業を受けていました。午前に3時間、午後も3……
奥北 秀嗣