10月16日、中国商務省より驚くべき数字が発表された。9月単月の中国からの海外直接投資額が前年同期比90.5%増の97億9,000万ドル(約1兆400億円)となり、9月の海外からの中国向け投資額90億1,000万ドルを初めて上回った。 海外から中国向けは1.9%増とほぼ横ばいに対し、中国からの投資は約2倍になっており、ここにきて積極的な海外展開を進める中国企業のニュースも連日報道されている。
中国が「受け手」という従来の構造から、中国が直接海外投資の「出し手」に変貌しつつある事情を深読みしたい。 経済成長率の鈍化により、日本では中国不況到来と報道されているが、現実には中国の貿易黒字は溜まる一方で、9月の貿易額は前年度比11.3%増の3,964億3,224万ドル(約42兆4,200億円)、うち輸出が15.3%増の2,136億8,746万ドル、輸入が7%増の1,827億4,478万ドルで差し引き309億4,300万ドル(約3兆3,100億円)の黒字。単月でこれだけ巨額の……
松本 健三