はじめに 人民銀行は7月28日、8月初めに開催予定の支店長座談会の議論内容を事前公表した。これは異例のことであり、上海株式市場の動揺が背景にあろう。消費者物価がやや上昇傾向にあるなか、金融政策の方向性に基本的変更がないことを事前に明らかにし、市場を沈静化しようとしたものと考えられる。 本稿では、公表内容と、これに対する経済参考報2015年7月29日の解説を紹介する。 1.人民銀行の事前公表内容(7月28日) 人民銀行は慣例により、8月初めに支店長座談会を開催し、現在の内外経済・金融情勢を分析し、下半期の重点政策を検討・手配する。 今年に入り、人民銀行は党中央・国務院の統一的手配に基づき、穏健な金融政策を引き続き実施し、緩和・引締めの適切な度合をさらに重視し、適時・適度に事前調整・微調整を行ってきた。
現在、各政策は秩序立って実施されており、銀行システムの流動性は充足され、マネー・貸出は平穏で……
田中 修