環太平洋経済連携協定(TPP)が12ヶ国間で大筋合意に達しましたが、最後まで残った難航分野がオーストラリアと米国のバイオ医薬品のデータ保護期間とニュージーランドと米国の乳製品輸出拡大協議の2点でした。 日本ではあまり知られていませんが、中国は昨年既にオーストラリアとニュージーランドの2ヶ国とFTA(自由貿易協定)を締結しており、関税撤廃や削減が実施されています。 その結果、今回のTPP交渉を先取りする形で大量の牛乳や乳製品が両国から中国に入って来ています。今回は中国の牛乳と乳製品産業を取り上げます。 中国と香港のボーダー(出入国検査、中国語では「辺検」)ではスーツケースをいっぱいにした大勢の運び屋を見かけます。 彼らが中国に持ち帰る品物は、粉ミルク、おむつ、歯磨き粉、食器洗い洗剤などの家庭用生活必需品ですが、自分のために国境を越えて重い荷物を運んでいるわけではありません。
中国では増値税……
松本 健三