現代のビジネス環境において、商品引渡し時に代金の決済がなされるケースはますます減っており、大口取引における代金の受取人は、通常、支払人に対し一定の決済周期を与えるのが一般的である。とりわけ巨額の資金をやり取りし、その取引頻度も高い商業企業にとっては、決済周期は、ある意味においては、相手方の取引行為を制約する「ツール」にもなっており、このような状況の中で、売掛金が大量に存在することは避けることが難しく、「不良」売掛金の発生を防ぐためには、売掛金の回収リスクを制御し管理する必要がある。
「不良」売掛金の未然防止と対応策について、これまでの筆者の実務経験を踏まえ、事例別に以下の通り整理する。以下の事例は、いずれも個別の会社、個別の案件の秘密情報を含むものではない。 一、取引前にできること:取引先の資産信用状況を十分に確認する
◇事例1: A社はこれまでに取引をしたことのない新規……
郭蔚