企業は撤退過程において多くの解決すべき問題に遭遇するが、労働紛争問題はその中でも比較的重要な事項であり、また厄介な問題の一つでもある。本稿では、企業の撤退過程においてよく見受けられる労働紛争問題及びその対処方法について考察する。
一、一般従業員の労働紛争問題及び企業の対応
1.経済補償金又は賠償金をめぐる紛争
企業の解散・撤退は、法律上は、「労働契約法」第44条に定める労働契約が終了する状況に該当するため、企業は撤退を理由として、法に依拠し従業員との労働契約を終了する権利があり、その場合、法定の経済補償金を支払うだけでよい。しかしながら、従業員は通常、労働関係の法律に対する知識はなく、又は完全に理解しているわけではないため、労働契約の解除と終了の2つの概念を混同することがよくあり、また区別して捉えていないため、企業が労働契約の終了を申し入れた際に、従業員は通常、企業に……
邱奇峰