近年、中国税関の査察はますます強化されており、通関業務に直接関わる事項だけでなく、会計、事業計画、生産ライン、在庫、調達、販売などもその対象とされているが、特に、企業の会計、物流、生産に関する伝票・帳簿に対する抜取検査の増加が顕著となっている。一方、税関トラブルが頻発する背景としては、企業側の対応不足により、税関査察に関する制度や法令、実務運用などに関する知識が必ずしも十分ではなく、不適切な対応となってしまっていることさえあることが挙げられる。
中国税関による査察の関連法令は主に「税関査察条例」(1997年1月3日より公布・施行)となるが、既に約20年が経過しており、この間の中国には社会・経済等の多大な変化・発展があったことから、法実務においては当該法令で対応しきれない種々の問題が生じていた。これを受けて、これまで数年余にわたり改正作業が行われてきていたが、2016年7月1日、「中華人民共和……
劉新宇