中国に進出する日系企業からよく相談される内容といえば、労務問題や商業賄賂等、中国の文化や法律の違いからくるのものが多い。一方、その日系企業に勤める駐在員の相談多いものは自身の中国生活と密接に関連した「納税」問題である。日中租税条約の183日ルールはよく知られているが、もう一つ、中国では「183日」のほかに「1年」や「5年」もターニングポイントとなる。つい先日も「今年の夏に中国の滞在が5年目となるが、個人所得税の納税義務が発生するのか」について質問があった。今回は、この5年超居住のケースを例にとり、駐在員の納税義務について分析したので、参考に供したい。
【事例】 A氏は、あるメーカーに勤めており、2011年10月中国に駐在員として派遣された。日本の本社と中国現地法人の両方から給料が支給されている。A氏は2016年10月に駐在年数満5年となり、2017年も帰任せず、引き続き駐在予定である。
【分析】 ■……
王穏